産後のきもち
 
やっとこ出産が終わったと思ったら、今度は出口の無いトンネル状態。
あぁ、女って辛い。 でも幸せな事がいっぱい増えたよ!

あっという間に5泊6日の入院生活が終わり、とうとう赤ん坊との生活に。床上げまで彼の実家でお世話になるから安心とは言え、未知の生物との生活に喜びと不安が入り混じる。入院中も母子同室の完全母乳だった為、ほとんど睡眠を取れず出産前から約2週間ろくに寝ていない状態。そして母乳が全然足りず、ミルク生活になる不安もあり。

退院してからどういうものか、朝から晩まで涙が止まらない。何がどうって理由がある訳じゃなくて、もう誰にもどうにも止まらない。お義父さんお義母さんも心配そうで申し訳なくて「私のせいで心配かけてる」と思うと悲しくて自分がダメな存在に思える。赤ちゃんが無事に生まれて何が悲しいのかサッパリ分からないけど、とにかく泣き通し。隠れて部屋で泣き、風呂場で泣き、トイレで泣き、もうこのまま一生笑えないんじゃないかと思った。友達にメールしても電話しても気分が晴れず、無理を言ってコンビニまで行かせてもらい、やっと外の空気を吸って楽になる。 結局ロクに口も利けず、泣き通しの日々が1週間続く。

色々調べてみると産後の鬱というのはよくあるらしく、無理をしないで薬を処方してもらえば良かったのかもしれない。あれが続くと赤ちゃんと一緒に心中する人なんかも出てくるらしく、他人事じゃなかったとゾっとする。

やっと鬱が終わっても、産後の生活はとにかく気が立ってどうにもならなかった。自分が動物になったみたい。我が子に触るものは、例えパパでもおじーちゃんおばーちゃんでも、全身の毛が逆立って落ち着かない。別に誰も取って食おうって訳じゃないのに、ソワソワして気が気じゃない。動物が産後、我が子に触れるものにはフー!!と牙をむく理由がわかるような気がする。まるで神経質の塊。ちょっと泣いては抱っこして、オッパイやミルクの量、排泄をきっちり計って記録して、寝てたら息してないんじゃないかと確かめて、正直頭がおかしくなるんじゃないかと思うくらいピリピリしていた。 自分以外の誰かが抱っこすると、他の人になついちゃうんじゃないかとか、自分の役目を取られるような妄想に取りつかれて、子供を箱の中に入れて一日中一人で抱えていたいと願ったり、ちょっと普通じゃない精神状態だったと思う。

「いい母親になろう。母親らしくしよう」ってそればっかり考えて、考えたからってなれる訳じゃないのに、ものすごく焦って焦りまくって。自分に自信が無くてとにかくしんどかった。人のアドバイスも上手く聞けない、余裕がない、母親なんだから何とかして自分で全部やらなければって。今にして思えば、もっと自分の状態を認めて無理をしなければ良かったのに…とあの頃の自分を痛々しく思う。子供が生まれて一人ではどうにもならない事が多くなって、やっと誰かのお世話になったり、誰かの世話をしたり、甘えたり甘えられたり、そういう関係
に慣れて来た。できない事はできないって諦める勇気も出たし、頑張れるときに頑張る事も覚えた。子育てを通じて、今まで知らなかった新しい世界に連れて来てもらった気がする。

きっと二人目が出来たら、一人目よりもっと楽しい妊婦生活を過ごして、もっと出産後が楽しみなると思う。これからの子供達は、大人になるにつれてもっともっと小さい子供との触れ合いを持って欲しいと願う。少子化の中で大人だけの世界で生きていくと、子供を持つことが不安ばかりになってしまうから。一昔前のように、家に小さい兄弟がいて、近所に赤ちゃんがいて、あちこちに赤ちゃんがいて、みんなで面倒を見て育つような環境になればいいのに。 子供って大変だけどこんなにいいものだよ、こんなに幸せなものだよって実感して生きて欲しい。